鎌倉駅をスタートして十二所(じゅうにそ)果樹園のハイキングコースを通り、横浜市の金沢八景・金沢文庫に至るコースをご紹介します。
十二所果樹園は鎌倉ハイキングの超穴場スポットで、豊かな自然を存分に満喫できます。また、金沢八景や金沢文庫一帯は鎌倉時代、六浦(むつら)と呼ばれて鎌倉の外港としての機能を果たしており、瀬戸神社や称名寺など鎌倉幕府とゆかりのある寺社があります。
【コース概要】
(1) スタート地点とゴール地点
スタート地点:鎌倉駅(JR・江ノ電)、ゴール地点:金沢文庫駅(京急線)
(2) 順路
① 鎌倉駅・鶴岡八幡宮 ~ ② 金沢街道 ~ ③ 十二所果樹園 ~ ④ 三信住宅・六浦駅 ~ ⑤ 金沢八景 ~ ⑥ 称名寺・金沢文庫 ~ ⑦ 金沢文庫駅
(3) 距離・所要時間
13km 4時間(観光含む)
【詳細地図を表示したい方は以下をクリック】
※グーグルマップでは、十二所果樹園のハイキングコースが表示されないため、地図表示を分割しています。
【写真付き案内】
① 鎌倉駅・鶴岡八幡宮
鎌倉駅西口です。右側が江ノ電の鎌倉駅、左側がJR鎌倉駅の駅舎です。
待ち合わせ場所として有名な時計台の裏手の通路を経て、小町通りに向かいます。
この時計台は大正時代に建てられた旧駅舎の時計台が保存されたものです。1984年に旧駅舎は取り壊されましたが、この時計台だけは市民による街頭募金などの運動により保存されました。
ちなみに現在の駅舎にも時計台があり、駅東口から眺めることができます。
鶴岡八幡宮前から金沢街道に入ります。
② 金沢街道
金沢街道を横浜方面に進んでいきます。
金沢街道沿いには苔の石段で有名な杉本寺や「竹の寺」と呼ばれる報国寺などの観光名所が多くあります。以下のページで詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。
荏柄天神社、杉本寺など由緒ある寺社が立ち並ぶ金沢街道沿いを歩き、衣張山に登る(鎌倉駅~鎌倉駅)|コース no.14
金沢街道をしばらく進むと、十二所(じゅうにそ)という地区に入ります。十二所には大江広元(鎌倉幕府の政所初代別当)の屋敷があったことから、大江稲荷神社が建てられています。
金沢街道に沿って流れる滑川には、新緑の芽吹きが感じられます。
十二所地区の鎮守である十二所神社に立ち寄ります。
こじんまりとしていますが、由緒ある神社であり、氏子さんに大切にされています。
③ 十二所果樹園
十二所神社の向かいに、朝比奈切通し・十二所果樹園方面に延びる道があります。金沢街道を後にして、こちらの道を進みます。
きれいな水が流れる大刀洗川に沿って進んでいきます。
朝比奈切通しと十二所果樹園との分岐点に到着しました。ここから十二所果樹園方面に進みます。
朝比奈切通しについては、以下のページで紹介しています。
所要時間6時間!鎌倉七口(切通し)を1日で歩いて回るとこうなった(極楽寺駅~朝比奈バス停)|コース no.15
十二所果樹園に至る道沿いの光景です。
ちょっとした山道を通っていきます。
十二所果樹園の入り口に到着しました。鎌倉風致保存会により管理がされており、鎌倉随一の梅の名所として知られています。梅の実の即売や栗拾いなどが行われています。
梅と栗の林の間を抜けていきます。
起伏に富んだハイキングが楽しめます。
展望台に到着しました。梅や栗の季節以外は、訪れる人の少ない超穴場なスポットです。
展望台から鎌倉市街(鎌倉霊園方面)を臨みます。
六浦方面を目指してハイキングコースを進んでいきます。狭い山道を進んでいきます。
朝比奈切通しの途中にある熊野神社と六浦方面の分岐点を過ぎます。
さらに進むと、三信住宅という住宅地と六浦方面の分岐点に至ります。六浦方面に進みます。
十二所果樹園には、アメリカ海軍の敷地が隣接しています。
標石も設置されています。
途中、つつじが咲いていました。
木の根がむき出しになった難所を通過していきます。
ハイキングコースの終点です。
ハイキングコースの終点付近から、これから目指す金沢八景方面を臨みます。
④ 三信住宅・六浦駅
三信住宅を抜けて、「三信住宅入口」の交差点を六浦駅方面に進みます。
京急逗子線に沿って進んでいきます。
京急六浦駅前を通ります。
鎌倉方面と金沢八景方面の分岐点に至ります。右方向(横須賀方面)に進みます。
六浦の交差点を八景島方面に進みます。
金沢八景駅付近の国道16号の様子です。交通量が大変多いです。
金沢八景駅周辺は現在、大規模な再開発が進められています。
⑤ 金沢八景
金沢八景駅からほど近い国道16号線に面して瀬戸神社があります。
古代からの海の神として祀られていたと推定されますが、1180年に源頼朝が伊豆三島明神(三嶋大社)を勧請したのが起源とされています。中世鎌倉の外港として栄えた六浦の海上交通の安全が祈願されました。
瀬戸神社の境内と拝殿を臨みます。この日は植木市が立っていました。華やかな神社です。
境内から海(平潟湾)を臨むと、弁天社が見えます。頼朝の妻である北条政子が琵琶湖の竹生島から勧請したものとされています。
国道16号を横断して弁天社のある琵琶島に入ります。
琵琶島から海(平潟湾)を臨みます。
弁天社の境内です。社殿の奥に金沢シーサイドラインの金沢八景駅が見えます。
⑥ 称名寺・金沢文庫
弁天社を後にして、称名寺・金沢文庫方面を目指します。
平潟湾にかかる瀬戸橋を渡って洲崎町の街を歩いていきます。釣り船屋さんが多く、この日は土曜日で多くの釣り客で賑わっていました。
ほどなく「明治憲法草創の碑」が見えてきました。
瀬戸橋近くにあった東屋という旅館において、1887(明治20)年、伊藤博文、井上毅、伊東巳代治、金子堅太郎の4名が、東屋で明治憲法の草案づくりをしたことをから1935(昭和20)年、金子堅太郎により東屋の庭に建てられたのがこの碑です。1955(昭和30)年に東屋の廃業に伴い設置場所が転々とした後、現在地に置かれています。
洲崎町を称名寺方面に歩いていきます。
途中、龍華寺(りゅうげじ)というお寺に立ち寄ります。この日は「ぼたん祭り」が開催されていました。
鐘楼前にたくさんのぼたんが咲いていました。
龍華寺の本堂です。
境内の至る所に満開のぼたんが咲いていました。
龍華寺の隣にある安立寺では、八重桜が見ごろとなっていました。
洲崎町を過ぎて、町屋町に入りました。奥に金沢八幡神社の鳥居が見えてきます
金沢八幡神社前の分かれ道を称名寺方面へ向かいます。
称名寺の赤門に着きました。門をくぐって国指定の史跡となっている称名寺の境内に入ります。
桜並木の山道を進みます。奥に仁王門が見えます。
鎌倉時代に建てられた高さ4mの堂々とした仁王門です。
称名寺の浄土庭園です。
称名寺は、鎌倉幕府の要人であった金沢北条氏の祖、北条実時が六浦荘金沢の屋敷内に建てた持仏堂が起源とされます。
その後、真言律宗の寺となり、金沢北条氏一族の菩提寺として発展し、2代顕時、3代貞顕の代に伽藍や庭園が整備されました。
金堂前の阿字ヶ池を中心とする浄土式庭園は、発掘調査を経て1987(昭和62)年に復元されました。
つつじと阿字ケ池です。手前の端は反橋、奥が平橋です。
金堂(奥)と釈迦堂です。
金堂の裏手には金沢三山(金沢山、稲荷山、日向山)があります。日向山方面から登ってみます。
途中、黄菖蒲の群生する一角があります。初夏が見頃です。
日向山の頂上には北条実時の墓があります。
お墓の様子です。
稲荷山頂上には休憩所があります。金沢山頂上の八角堂広場へ進んで行きます。
山道を抜けていきます。
金沢山の頂上にある八角堂の前に展望広場が広がっています。
金沢八景の海を臨みます。
八角堂の裏手からは横浜の市街地が臨めます。
庭園に戻る道を下っていきます。途中、脛塚という標識がありました。
標石のそばには石仏群があります。
庭園に戻ってきました。20分程度で楽しめる気軽なハイキングコースでした。金堂側から見た庭園の光景です。
庭園脇の広場の奥に、北条顕時と金沢貞顕の墓があります。
お墓の様子です。
⑦ 金沢文庫駅
称名寺に隣接して金沢文庫があります。北条実時が設けた日本最古の武家文庫ですが、現在は県立の歴史博物館として運営されており、鎌倉幕府や金沢北条氏、称名寺にゆかりのある様々な所蔵品を保管・展示しています。
写真の奥に見える金沢文庫と称名寺をつなぐ隧道(トンネル)は、中世につくられたものであり、文化財として保存されています。
金沢文庫を後にして、住宅街の中の道を通って金沢文庫駅に到着しました。お疲れ様でした。
【推奨コメント】
鎌倉ハイキングの超穴場である十二所果樹園と、称名寺裏手のハイキングで豊かな自然が味わえます。歴史ある六浦や金沢文庫の周辺は、落ち着いた雰囲気が漂っており、成熟した街としての魅力が感じられます。
自然、海、歴史ある寺社や街並みを堪能できる楽しいコースです。
(記:2018年4月15日)