小田急電鉄の車掌さんの対応から考える「顧客満足」とは|トピックス

本日(2017年9月29日)、筆者が小田急線に乗車した際の体験を「顧客満足」と絡めてご紹介します。

「顧客満足」を運ぶ小田急線
【「顧客満足」を運ぶ小田急線】

今日、鉄道各社において「顧客満足」の重要性が増しています。

各社とも、少子高齢化による利用客数の減少という課題に直面するなかで、「座って通勤できる」有料列車の導入や、駅設備の刷新(例えばトイレ)など、ハード面での利便性を高めて顧客満足を向上し、利用客一人当たり収入の増額や利用客数の維持を目指すことに躍起になっていると感じます。

しかし、鉄道利用客における満足向上要因として、車掌や駅係員とのフェイス・トゥ・フェイスのやり取りにおいて感じられる「顧客を大切にする思い」ほど、重要なものはないと思います。

例えば、列車の遅延時に自らの責任ではないにもかかわらず、怒号の混じった利用客からの問い合わせに必死に対応する姿や、鉄道ファンの子どもに対して、さりげない心遣いをする姿を見ると、改めて顧客対応の重要性を認識します。

そうした顧客満足の観点から見たときに、小田急電鉄の運転手、車掌、駅係員といった従業員の利用客に対する態度において、顧客満足を大切にする姿勢が徹底されていると感じます。

同社の列車の後方車輌に乗車していると、「これより車掌が車内に参ります。ご用の方はお気軽にお声かけ下さい」というアナウンスとともに車掌がやってきます。

パスモやスイカといった自動改札サービスが普及した今日において、乗車中の車内において車掌に用を願いでる利用客はほとんどいません。同社としては車内警戒の理由もあって続けているとは思われますが、利用客の立場からは、「いつでも車掌に問い合わせができる」という安心につながっています。

今日も、私が出発前の車掌に乗り換えについて訪ねた際、一度回答した後、わざわざ車内に入って来て「乗り換えに便利な車輌の号数」という追加情報まで教えに来てもらいました。

こういう行動は、普段から顧客満足を追求している姿勢が徹底されていないとできないことだと思います。

私はその車掌さんが、出発後の車内において流す落ち着きのある、かつ配慮に溢れたアナウンスに聞き入って、満員の車内も気にせずに快適に過ごすことができました。

鉄道業界だけでなく、あらゆる業界で顧客満足が追求され、場合によっては従業員の自己犠牲も要求される行き過ぎた風潮がある中で、本当の顧客満足とは何かを考えさせられました。

それは決してハード面の素晴らしさだけではなく、ましては不必要と思われる過剰サービスでもなく、従業員一人一人の心のこもったさりげない優しさの積み重ねではないのかと思います。

小田急グループ経営理念(同社ホームページより)

「小田急グループは、お客様の『かけがいのない時間(とき)』と『ゆたかなくらし』の実現に貢献します。」